アメリカ発部分入れ歯、RPIクラスプデンチャー〜ドイツ式以外の選択肢〜

アメリカ発部分入れ歯、RPIクラスプデンチャー〜ドイツ式以外の選択肢〜

このブログを書いた人

稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子
稲葉歯科医院 院長稲葉 由里子
  • 医療法人社団秀峰会 理事長
  • IPSG包括歯科医療研究会 総務理事
  • Weber dental labor 代表
  • EPA ヨーロッパ補綴歯科学会 会員
  • ISOI国際インプラント学会 会員
  • 日本顎咬合学会 認定医
  • IPSG包括歯科医療研究会、テレスコープ義歯を含む全コース修了

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これまで、ほとんど全ての症例をドイツ式入れ歯で治療をさせていただいておりましたが、患者さまの中には、歯を削りたくない。今のままの状態で部分入れ歯を入れたい。費用に関しましても、ドイツ式入れ歯は高額なため、もう少し価格を抑えた方法で治療をしたい。

というお声を以前より頂いておりました。

そのような場合にご提案をさせていただいている、アメリカ発祥の部分入れ歯、RPIクラスプデンチャーをご紹介させていただきたいと思います。

アメリカ発、部分入れ歯〜RPIクラスプデンチャー〜

1965年 カリフォルニア大学のF.J. KRATOCHUIL(クラトビル)により提唱され、1973年A.J. Crawl(クロール)により、RPIクラスプデンチャーが改変されました。

当時は、近代部分入れ歯のシンボルと映るほどの衝撃であったと言われています。

RPIクラスプデンチャーは、Rest(レスト)、Proximal Plate(プロキシマルプレート)、I-bar(Iバー)の3つの要素により構成されております。

部分入れ歯を長く使っていただくためには、残っている歯にできる限り負担をかけず、歯を揺らさないような工夫が必要です。

保険のクラスプとの違い

下の図を見ていただき、

🔵①は保険治療に適応されるエーカースクラスプです。

釘抜きのような形で、歯を包み込んでおり、入れ歯が動くと、歯を少しづつ揺らしてしまう作用が加わります。

🔵②は、RPIクラスプデンチャーに用いられるIバークラスプです。

歯を縦の方向に支える形になっており、入れ歯が動くとき、Iバーは歯を揺すらずにズレるような動きをします。

※F.J. KRATOCHUIL UCLA Removable Partial Denture SYLLABUSより

RPIクラスプデンチャーの3つの構成要素

RPIクラスプデンチャーの3つの構成要素と、それぞれの役割をお伝えいたしましょう。

⭕️R(レスト)→奥歯で噛んだ時の力を、受け止めます。歯は横の力には弱いため、縦の方向に力が入るようにします。

保険のクラスプデンチャーは、前述にあるよう、横に揺する作用があるため、年月の経過と共に支えている歯がグラグラになってしまいます。

それを防ぐために縦の力を利用します。

⭕️P(プロキシマルプレート)→歯の遠心面にプレートをつけることで、歯が動かないように支えます。

入れ歯を取り外す時、スムーズに着脱できるようになっています。

⭕️ I (Iバー)→通常の保険のクラスプ(エイカースクラスプ)は、入れ歯が動いた時、一緒に歯も動かしてしまいますが、Iバーは歯面から離れるように、歯に対するダメージを最小限に設計されています。

歯を支えるような形になっているため、目立ちにくく審美的に優れています。

どのような方に適応か

🔵奥歯はないけれど、前歯は残っている。

🔵前歯はないけれど、奥歯は残っている。

🔵所々、歯がない。

など、様々なケースに対応できますが、可能であれば、神経がある健康な歯であることが理想的です。

歯周病があり、歯にグラつきがある方にはお勧めしておりません。

RPIクラスプデンチャー、設計のポイント

歯にダメージの少ないRPIクラスプデンチャーですが、口の中を大きくみて、大切なポイントがあります。

私たちが座る椅子は、4本の足で支えられ、その面積が大きいほど安定します。

部分入れ歯の設計も同じで、口の中に大きな四角形ができるようにします。

それにより、部分入れ歯はどっしりと安定します。

大きな四角形を描くためには、4点の位置に歯が存在することとなりますが、もしそうではなく、3点だったらどうしたら良いでしょうか。

金属のバー、シュパルテの効用

こちらの写真を見ていただくと、奥歯がない事がわかります。

3点の歯だけだと入れ歯は安定しません。

そこで、こちらのようなシュパルテという金属床を利用します。

上あごの硬い部分を利用して、歯だけではなく粘膜でも噛む圧力が負担されます。

金属が捻れている部分で、入れ歯の沈み込みを吸収し、椅子に例えるのであれば、3つの椅子の足を4つに変える役割を担っています。

おしゃれな椅子で、捻れていることにより、倒れずに保たれいるものってありますよね?

そのイメージです!

出来るだけ大きな四角形にするために、前歯には近心レスト、奥歯には遠心レストを付与しています。

もう一つの例で見てみましょう。

こちらも前歯に2つのレスト、両奥歯がないため、出来るだけ離れたところに部分入れ歯の終わりを設計し、大きな四角形が描けるようになっております。

最後に

このように部分入れ歯は失った歯を補うだけではなく、残っている歯をいかに守ることができるかを重要視しています。

アメリカ発祥のRPIクラスプデンチャーはその点において、とても考えられた方法だと思います。

ドイツ式以外の選択肢として、当院において10年以上経過症例が多数あるため、今回ご紹介をさせていただきました。

治療内容

RPIクラスプデンチャー

治療期間・回数

4〜5回

1回目 診査診断

2回目 型取り

3回目 試適

4回目 完成

費用

120万円〜(税別)
(自由診療)

リスク・副作用

年月の経過により骨が吸収する場合もあります。

清掃を怠ると虫歯になる可能性があります。

神経のない弱い歯、歯周病がある歯を支えとする場合は、将来歯を失う可能性があります。

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【筆者】稲葉 由里子から
患者さまへのメッセージ

稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子
〜 歯でおなやみの患者様へ 〜

入れ歯専門、女性歯科医師として沢山の方々の入れ歯治療に携わってまいりました。
これまでの経験を生かして、患者さまからいただいたご質問やお悩みにブログを通してお伝えしていきたいと思います。

口元は、人格やパーソナリティーまで変えてしまうほど大切な要素です。
笑顔は、あなただけではなく周りの方も幸せにする大きな力があります。

お一人で悩まず、まずはご提案をさせていただくことができればと思います。

さまざまなご質問にもお答えしておりますので、どうぞ遠慮なくご連絡いただきたいと思います。

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