外さない入れ歯~自尊心を保つために大切なこと~
今回は、自尊心を保つために大切なこと、できる限り入れ歯は付けていただきたいというお話をさせていただきたいと思います。
ドイツにおける特別養護老人ホームの入れ歯事情
日本で介護保険がスタートした2000年に、家族でドイツのカイザース・ラウテルンの特別養護老人ホームAWOを見学させていただきました。
※AWO ホームページより
日本とのQOLの差に愕然としました。
老人ホーム独特の雰囲気はなく、私は当時普通の住まいを訪れたような感じがしました。
消毒薬の臭いなどもなく、通常通りの生活をしているのです。使い慣れた家具をお部屋に持ち込むことも、ペットと一緒に暮らすこともできます。
ドイツの特別養護老人ホームでは、ピアノリサイタル、ビリヤード、スイミングプール、ダンスパーティーなどが開催されるため、皆お洒落をして参加をされるそうです。
寝間着のままレストランに現れることもなく、ごく普通にお食事を楽しんでいるように見えました。
※AWO ホームページより
鏡で映る、自分の顔が美しい、お洒落でいる事は、人生を前向きに明るくします。
そのような意味で、人前で入れ歯を外さないでいただきたいと思うのです。
また、ドイツでは、スプーンやフォークなど健常人が使うものと同じ物を使っていらっしゃいました。
※AWO ホームページより
日本では、老人ホームに入ると、入れ歯を外すように言われますが、ドイツでは人前で入れ歯を外す事はありません。
日本の介護施設などでよく見かけるのは歯を失うとその状態に合わせた食事を与える傾向があります。全粥、七分粥、ミキサー食など、本来の食べることのトレーニングがされておりません。
出来る限り正常に戻すことが目的なので、体の一部である入れ歯を付けて食事をし、できる限り外さないでいただきたいと思います。
※AWO ホームページより
寝る時入れ歯を外さない理由4つ
入れ歯を人前で外さない、寝ている時も外さないという事は、自尊心を保つために、非常に大切なことだと感じます。
また、当院では、患者さまに寝る時は入れ歯をはめたままお休みされることをお勧めしております。
その理由は4つです。
①寝ている時に災害が起きた時、入れ歯を置き忘れることがあるから。
東日本大震災、阪神淡路大震災の時など、入れ歯を無くし、噛むことができなくなってしまった方が大勢いらっしゃいました。
②寝ている時であっても、家族に歯がない状態を見せないため。
③酸素が取り入れにくくなるため
入れ歯を外す事により口の中が狭くなり、呼吸がしずらくなるため。
④噛み合わせの合った入れ歯は睡眠の質を高めます。
寝ている間であっても噛み合わせは重要だと考えます。
入れ歯を清潔に保つためにお願いしたい事
外さなくて良いと言っても、全く外さない訳ではありません。入れ歯を外すタイミングは、歯磨きを行う時と同じです。
朝昼晩の食事の後、昼は自宅ではないことも多いと思うので、ゆすいでいただくだけで構いません。
外した方が良いという理由として「粘膜を休めるため」と言うのを聞くことがありますが、痛みもなく違和感がないのであればその必要はありません。
それよりも、つけていた方が良い理由の方が上回るため、当院では入れ歯はできるだけつけていただき、ご自身の一部として使っていただくことをお勧めしております。
当院の入れ歯は、MRIの検査もはめたままで問題ありません。
外さなくて良い入れ歯、ドイツで開発されたテレスコープシステム、ドイツ式入れ歯のご紹介
これまでお伝えさせていただいた、QOL(クオリティーオブライフ)を保つためにも、入れ歯は生活に欠かせない体の一部だと考えます。
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流れ・ご案内
実際に先生と会って話を聞きたい。
自分にはどのような方法が合っているのか、治療方法や 期間、費用について具体的なお話を聞きたいという方には、入れ歯カウンセリングをお勧めしております。
入れ歯のお悩みを動画で解決
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