残っている歯を守るための入れ歯のデザイン
ドイツ式入れ歯 レジリエンツテレスコープや総入れ歯において、粘膜と入れ歯をピッタリと密着させるためには、重合という作業が行われます。
保険治療の入れ歯における重合方法は、上下に分かれるフラスコに蝋で作った入れ歯を埋没したのち、そこにレジンという材料を詰めて熱湯で重合させる方法でした。
しかし、レジンはもともと、熱をかけると収縮を起こすので、入れ歯の中で気泡となって残ってしまったり、変形の原因となってしまっていました。
保険の入れ歯の臭いが気になったり、着色してしまう原因となります。
そのような弱点を補う方法として、『イボカップシステム』が開発されました。
イボカップシステムは、3トンの圧力に耐えるフラスコと6気圧の圧力でレジンを補うことが出来る方法で、重合収縮を補正しながら精度の良い総入れ歯を作ることが可能な方法です。
精度をだすために、歯科技工士はこの重合という作業を1日かけて行います。
保険の入れ歯と自費の入れ歯の大きな違いは、入れ歯を専門に勉強してきた先生、そして製作する技工士の知識の違いですが、このように重合と言う作業ひとつとっても、手間暇がとてもかかっているのです。
また、患者さまは、気づかれないかもしれませんが、入れ歯の中には、このような複雑な床が力のバランスや強度を保っています。
入れ歯の中の形にもこだわりを持って製作しています。
床と床が重なり合っていますが、蝋着は行っていません。
ドイツでは、蝋着はほとんど行いません。
なぜなら、後に入れ歯を修理することになった時、蝋着をしていたら、分解ができないからだそうです。
ドイツ人の考えは、後から修理を行うこと、先の先迄考えて、蝋着はせずに床と床で結合させていると教えて頂きました。
以前私がレジリエンツテレスコープで治療をさせていただいた患者様が来院されました。
どうやら、入れ歯を他院で修理をされたそうです。
入れ歯を修理してくださったのまではよかったのですが、脚をとってしまったのです(-_-)
すると・・・
「歯が安定しない感じがします。あの、金属がついていたの(脚)ってとても大きな意味があったのですね。」
とおっしゃいました。
患者さまも感覚として分かるのですね。
ドイツでは、脚や床のデザインが大変進んでいますし、修理をどのように行うかも同じぐらい研究されています。
私達は、入れ歯の形だけではなく、歯を守るための床のデザインを大切に、患者さまの治療に取り組んでおります。
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