インプラント以外の選択肢
〜テレスコープ義歯〜
ドイツにおける新たな取り組み

  • インプラントを沢山してきたので、もうやりたくない
  • インプラントが抜けてしまった

という患者様からの相談を耳にすることが多くなってきました。

これまでインプラント治療をされていた方は、今さら保険の入れ歯を入れようとは思っていません。インプラントを選択された理由は「入れ歯にしたくないから」だったからです。

従来の入れ歯をイメージされ、入れ歯に躊躇されている方に読んでいただきたいと思います。

インプラントはしたくないけど、他に方法が見つからないと悩んでいらっしゃる方、実はとても多いのではないでしょうか?そのような方に、「インプラント以外の選択肢、〜テレスコープ義歯〜ドイツにおける新たな取り組み」についてお伝えしたいと思います。

テレスコープ義歯とは、ドイツで開発された技術で、歯に直接被せる内冠、入れ歯の本体、外冠から構成されています。

130年の歴史の中で改良を重ね、様々なタイプのテレスコープ義歯が生まれました。 その中の一つが、コーヌスクローネという入れ歯です。

従来型の取り外し入れ歯は、金属の金具(クラスプ)を歯に引っかけて入れ歯を入れるのに対し、コーヌスクローネは金具が見えないため、見た目に美しい入れ歯として広まっています。

リーゲルテレスコープとは

リーゲルテレスコープ

これまで、沢山の種類のテレスコープ義歯が考案されましたが、その中でもリーゲルテレスコープは、丈夫で長持ちする入れ歯として本場ドイツで最も行われている方法です。

リーゲルテレスコープは応用範囲が広い義歯であり、メンテナンスをしながら長く使うドイツ人らしい考えのもと生まれた入れ歯として知られています。

残っている歯をできる限り連結することで、全体に力が分散されるような仕組みになっています。

リーゲル(Riegel)とはドイツ語で閂(カンヌキ)のことで、リーゲルレバーという鍵の開閉により入れ歯が動かなくなります。

歯に引っ掛ける、金属のクラスプも見える事なく、自然な口元を作る事ができます。

リーゲルテレスコープの変遷

インプラントの普及が広まっているのに対し、入れ歯のイメージは昔のままです。しかし、昨今のテレスコープ義歯はインプラント同様に進化していることはあまり知られていません。

1991年、テレスコープ義歯の加工に、放電加工術を取り入れる事はできないだろうかと思い浮かんだのが、SAE DENTAL VERTRIEBS GMBH代表であり、テレスコープ義歯専門技工所Ruebelling&Klar Dental labo代表、歯科技工マイスターのMr.Günter Rübelingです。

彼は、研究を重ね、歯科で用いるには大変難しい金属、コバルトクロム金属に放電加工術を用いたテレスコープ義歯の応用に成功しました。

放電加工術とは、すでに日本でも、硬い金属などを加工するための技術として製造業では使われています。

例えば、マイナスとマイナスがくっつくと、ジリジリと火花が立ちます。
その原理を応用し、水や石油などの液体の中で、電極と金属の間に火花を起こし、その熱で電極の形に削り取っていく技術です。

コバルトクロムという硬い金属を、1,000度の熱で溶かしながら削り取ります。

コバルトクロム合金使用のメリット

コバルトクロム合金の優れた点は、軽くて強い事です。

上:リーゲルレバーを開けたところ。下:閉じたところ。
参考資料:SAE DENTAL VERTRIEBS GMBH

従来のゴールドを用いると、重さにより支える歯に負担がかかる場合があります。コバルトクロム合金は0.3ミリまで薄くすることができ、金属の重さが軽いため、歯にかかる負担が少なくなります。
また、薄くできるということは、舌で触った感じが自然になるため、発音もしやすくなります。

また、コバルトとクロムは、私たちの必須ミネラルともなるため、体にも安全な金属と言えます。

テレスコープ義歯という選択

写真:Geneva大学、補綴科Irena Sailer教授の講演より

製作方法もデジタル化が起こり、バーチャルな計画やデザインもされ、ドイツのテレスコープ義歯は、今後さらなる発展が期待されています。

超高齢社会を迎えた今こそ、テレスコープ義歯は日本に求められる技術であると感じます。

ドイツ式入れ歯の治療例についてはこちらのページをご覧ください。

当院のドイツ式入れ歯の治療例

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