コーヌスクローネのご紹介
〜これまでの歴史〜

日本でも認知度の高いコーヌスクローネの歴史についてお伝えしたいと思います。

昨今、私自身の臨床の中でも、レジリエンツテレスコープやリーゲルテレスコープと比べ、技工操作において一番難易度の高いテレスコープだと思っています。

コーヌスクローネを成功させるには、歯科医師、歯科技工士との連携が必須となり、お互いの確認作業をかなりシビアに行う必要もあると感じます。

コーヌスクローネのご紹介〜歴史編〜

コーヌスクローネは、1980年代当時、爆発的に流行りました。

しかし10年間位で下火になってしまいました。
色々なトラブルが生じてしまい、その評価を落としてしまったからです。

トラブルの原因は、入れ歯の設計、製作方法、使用金属、適応症等が統一されていなかったためだと思われます。
結果、コーヌスクローネは、次第に使われなくなってしまいました。

その、コーヌスクローネが最近見直されているようです。
ですが、よく読んでいると、相変わらず間違った情報が多いように感じます。

正しいコーヌスクローネ

当院顧問の稲葉繁先生は、本場ドイツで直接コーヌスクローネを学びました。

Karlheinz Koerber教授のKonuskronen,コーヌスクローネの原書。
もちろんドイツ語で書かれているのですが、稲葉先生がボロボロになるまで読んだコーヌスクローネの教科書です。

コーヌスクローネの設計、製作法、適応症、禁忌症、解決法などが、沢山の事がこの一冊に書かれています。

原書の内容と、日本で広まりつつある内容に食い違いがあるのです。

コーヌスクローネは、沢山のルール、製作法があってはじめて成功するものであって、自己流で製作するものではありません。

まず、1980年代臨床家の間に広まったコーヌスクローネが評判を落としてしまったのか。
また、正しいコーヌスクローネとはどのようなものかを稲葉繁先生が詳しくお伝えさせていただきたいと思います。

以下は稲葉繁先生のインタビューの内容を掲載します。

1.テレスコープシステムの歴史とコーヌスクローネへの誤解

日本ではコーヌスクローネしか知られていませんが、ドイツには様々なテレスコープシステムがあります。
コーヌスクローネの間違った方法が広まってしまったためにテレスコープ全体の評判を落としてしまうことは大変残念な事です。

1980年代、コーヌスクローネの本が翻訳され、一部の先生方により爆発的に流行りました。

しかし10年間位で下火になってしまいました。色々なトラブルが生じてしまい、その評価を落としてしまったからです。

トラブルの原因は入れ歯の設計、製作方法、使用金属、適応症等が統一されていなかったためだと思われます。

結果、コーヌスクローネは、次第に使われなくなってしまいました。

2.ドイツでのコーヌスクローネの扱われ方

ドイツでは、コーヌスクローネはテレスコープシステムの中の一つで、特別な方法ではありませんでした。

私は、コーヌスクローネは勿論の事、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープ、アンカーバンドテレスコープ等様々なテレスコープシステムを使い、ほとんどすべて、様々なケースの症例をカバーすることができることを知りました。

特にリーゲルテレスコープは応用範囲が広く、回転リーゲル、旋回リーゲルを使っていました。これらのテレスコープシステムによる臨床を実際にドイツで経験する事が出来ました。

その事が現在までの私の臨床の基本になっています。

3.日本でのコーヌスクローネの扱われ方

1980年に帰国をしてみるとコーヌスクラウンという名前で一般の臨床家の間で広まりつつありましたが、実際にドイツで行っている臨床と製作システムが大きく異なっていました。

使用金属は金銀パラジウム合金が使用されていて、ドイツで使用していた、ゴールドとは似ても似つかないものでした。

私がドイツで、学んだ方法とは全く違っていたのです。

金銀パラジウム合金は長期使用で、精度が狂います。

そこで正しい「コーヌスクローネ」を広めなければならないと考え、松風カラーアトラスに「コーヌスクローネ」と「リーゲルテレスコープ」を出版しました。

特に大きな違いは、日本の指導者は削る量が多いので歯の神経を抜くように指導していたことです。

歯の神経を抜く事がトラブルの原因となり、歯が割れ、コーヌスクローネの評判を大きく落としてしまいました。
ドイツでは、コーヌスの支台歯には原則として神経のある歯を使わなければならないということでしたが、日本では全く逆でした。

さらに、歯を守るためには入れ歯の設計の基本を知らなければなりませんが、殆ど知られていませんでした。

特にコンビネーションのケースに使われる「トーションバー」や「シュパルテ」という歯の破折を防止する床の設計は知られておらず、歯の破折を防止する対策が全くなされていませんでした。

その様なことが重なり、コーヌスクローネで治療する先生が少なくなってしまいました。

4.今後のコーヌスクローネの活用方法

一方で、正しい方法で行われたコーヌスクローネは、多くの症例で30年以上の経過を保っており、患者様に大変喜ばれております。

私は、ドイツのチュービンゲン大学に客員教授としてE.ケルバー教授のもとに滞在している時に、幸いな事に多くのテレスコープを経験し、一次情報を得てきました。

臨床で使われるテレスコープシステムはコーヌスクローネだけではありませんので、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープ等を適材適所に使い、臨床の幅を広げていただきたいと思っています。

さらに最近ではインプラントとの併用によりさらに良い結果が得られていますので将来に期待したいと思っています。

当時稲葉先生が出版した『正統派コーヌスクローネ』

オクルーザルコアの使用、コーヌスのミリングマシーン、正しい印象法、セット方法など、詳しく正しい方法で書かれています。

コーヌスクローネの基本的な設計は、すべてのパーシャルデンチャーに応用することができます。他では入手することができない一冊、ぜひお手に取って頂けたら幸いです。
(歯科医師対象)

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