治療前の状態について

患者さまは50代女性。

患者さまの経緯

「私のこれまでの経緯についてのご連絡です。うまくご説明できるか分かりませんお話致します。私は20歳の頃まで八重歯がありました。その八重歯が虫歯になり自宅近所の歯科に治療に通いました。

見た目は虫歯のようには見えなかったのですが抜いてブリッジにしなきゃだめだと言われ前歯2本と八重歯を治療しブリッジにしました。そのブリッジは外れやすく何度も外れては付けの繰り返しでそれから他の歯もだめになり始め次々と抜かれてしまいました。

30歳過ぎた頃には歯はボロボロになりました。

総入れ歯を考えた時もありましたが年齢的に抵抗と恥ずかしさがあり入れ歯にすることができませんでした。

入れ歯は見た目でも分かるし、話した時に外れそうで怖いなど色々考えていました。

20年歯の悩みはいつもありました。本当に毎日歯の事で悩んで、どんどん笑えなくなり友人と食事に行く事も少なくなっていました。インターネット社会になった頃色々自分なり調べていたら由里子先生の病院を知る事ができました。最初は抵抗がありましたが思い切って連絡してみようと勇気を出し連絡してみました。」

治療内容について

残っている歯はボロボロであったため、全て抜歯、総入れ歯治療をさせていただくことになりました。

今回は、当院顧問である稲葉繁先生が代表を務める、IPSG包括歯科医療研究会の総義歯ライブ実習コースという、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士の勉強会にご協力いただき、3日間で治療をさせていただきました。

当院の総入れ歯は、上下を一緒に型取りを行い、口の中の情報を丸ごとコピーする方法を用いております。

上下顎同時印象法により、患者さまの様々な情報が再現されます。元有った、歯の位置、口の周りの筋肉の走行、唇の位置、舌のボジションなど、精密に記録され、咬合器という顎と同じ動きをする器械に付着します。

精密にコピーした情報を元に、歯を並べていきます。

患者さまの唇の位置も記録されるため、理想的な位置に並べられます。

全ての歯を並べて、患者さまへ試し入れを行います。

噛み合わせ、審美性、発音などを全て確認します。

総入れ歯の完成

完成した上下の総入れ歯です。

口の中の情報を丸ごとコピーしているため、ぴったりと入ります。

総入れ歯はどのようにくっついているのでしょうか？

総入れ歯がどのようにくっつくか不思議に思われるかもしれませんが、ポイントは2つあります。

・唾液の力

・口の中の筋肉

です。

具体的には、ガラスとガラスの間に水を介在させると外れにくくなる（ウォーターフィルム現象）事を利用し、粘膜、唾液、入れ歯で吸着させます。

また、口の中の筋肉を利用するためには、小さすぎる入れ歯だと、口の中で動いてしまい筋肉のサポートを得る事ができません。

そのため、上下を同時に型取を行い、口の中の筋肉に合った大きさにする事が大切です。

完成した総入れ歯、口元の様子

口元に合った総入れ歯は、口を開いたときに歯しか見えず、総入れ歯であることも気づかれません。

娘さんに歯が可愛いと褒められました。と嬉しそうにおっしゃっておりました。