入れ歯の型取りで嘔吐(おうと)反射がある方へ
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患者さまの中には、歯型や入れ歯の型取りの際に、嘔吐(おうと)反応が強く、それが原因で、歯科医院に行くのが嫌になってしまう方がいらっしゃいます。
放っておくと、食事も不自由になりますし、保存できる歯も失ってしまう可能性が出てくるでしょう。
では、どのようにしたら、嘔吐反応が出ずに、上手に型取りができるのでしょうか。
事例を交えてお伝えさせていただきたいと思います。
今から1年ほど前、嘔吐反応が強い患者さまよりご相談をお引き受けいたしました。
数年前に保険適用の義歯を作ったのですが、不自由で悩んでいます。
また、嘔吐反応がひどく、上の義歯はずっとしてません。
嘔吐反応が酷いのですが、治療をしていただく事は可能でしょうか。
お口の中を見させていただくと、上の歯は4本残っていました。
4本の歯を利用した、レジリエンツテレスコープというドイツ式入れ歯をお勧めし、患者さまも不安はあったと思いますが、これからの将来のために、頑張って治療を受けてくださることになりました。
実際に型取りの際、どうだったかと言うと、確かに嘔吐反射がありました。
ですが、
「お鼻でゆっくり、深く息を吸ってくださいね。大丈夫だから。」
とお伝えしながら、患者さまから離れずに、ずっと顎に手を当てて安心していただけるように工夫をしながら型取りを行いました。
おそらく、ダイビングなど、鼻で息を吸えないと、水中でパニックになってしまうような感覚と似ていると思います。
そのため、大丈夫だからと安心していただき、鼻でゆっくり呼吸をすることで、上顎、下顎共に、問題なく型取りをさせていただく事ができました。
残す事ができる4本の歯に内冠を被せます。
その上から、外冠を被せる形となります。
(※Weber dental labor 丸山さん製作)
一見大きくて、嘔吐反応が出てしまうように感じます。
確かに最初は違和感がありました。
しかし、3日で慣れていただきました。これは、通常、嘔吐反応がない患者さまよりも慣れるのが早いということになります。
実は、これまでも、何人か強い嘔吐反応がある患者さまをお引き受けしましたが、皆さま揃って、慣れるのも早い傾向にあります。
実際に患者さまに、私が型取りをする際になぜ嘔吐反応が起きずに型取りができたのかをお聞きしてみました。
これまで、嘔吐反応が出た時に、先生から
「すぐに終わるから我慢するように。」
と言われたり、できないと怒られたりしていたので、いつも不安で恐怖感がありました。ですが、嘔吐反応が出ても、由里子先生は大丈夫だからといつも安心させてくださったから気持ちも落ち着いたのだと思います。
またその後、経過観察にいらっしゃった時には、食事が美味しくて食べすぎてしまいます。
ともおっしゃっていただき、安心しました。
入れ歯の型取りが怖い。
と思われていらっしゃる患者さまがいらっしゃいましたら、ダイビングやシュノーケリングの際、鼻で息ができなくてパニックになる感覚と似ているので、型取りの際は、口では息が吸えませんから、お鼻で深く息を吸って深呼吸をすれば大丈夫だということをお伝えしたいと思います。
もし、入れ歯の型取りが苦手なかたがいらっしゃいましたら、患者さまにはいつも同じように接してはおりますが、お声がけくだされば、不安にならないように付き添いながら治療を進めさせていただきますので、どうぞご安心ください。
今回の治療方法、レジリエンツテレスコープについて詳しくはこちらのページをご覧ください。
その他、入れ歯の治療例についてはこちらのページをご覧ください。
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