顎骨骨髄炎の患者さまの入れ歯治療

YouTubeチャンネルでもご紹介させていただいておりますので、よろしければご視聴ください。



「顎骨骨髄炎」(がくこつこつずいえん)とは、虫歯や歯周病などお口の中の細菌が原因となり、骨の髄まで炎症が広まり、酷くなると顎が壊死(えし)=腐ってしまうため、部分的に骨や組織を切除しないと治らないような病気です。

細菌感染によるものなので、抜歯後の治癒不全やあごの骨を骨折した箇所から入り込むこともあり、健康な方でも顎骨骨髄炎になる可能性はゼロではありません。

顎骨骨髄炎の患者さまは、それほど多くはありませんが、昨今当院にご相談にいらっしゃる方が数名いらっしゃいましたので、ドイツで開発された入れ歯により治療をさせていただいた症例についてご紹介させていただきたいと思います。


患者さまは、50代女性でメールでご連絡いただきました。

下顎骨骨髄炎を発症し、1年前に右下顎骨辺縁切除術を受け、骨を削った際プレート補強しています。歯は手術のため抜歯し4番から7番までない状態です。

先日1年経過後の検査を受けましたが、口腔外科の先生からは、削った骨は順調に出来てきているので、入れ歯を作ってかまわないと言われています。

一般の歯科医院で入れ歯の話を聞いたのですが、私の場合、左下側の親知らずから5本ブリッジをかけているのですが、親知らずの状態が悪くなってきており抜歯しなければならないようです。

骨が細い(小さい)ため、インプラントは無理で、保険で出来る入れ歯を作って使うのがかなり難しいかもしれないという説明を受けました。

稲葉歯科のドイツ式入れ歯が私に適応するのかどうかご相談させていただきたいです。

実際にお口の中を診させていただきました。

右側の骨を部分的に切除されていて、細く、薄くなっていましたが、もともと歯周病などはなく、残っている歯は健康でグラグラしている状態ではありませんでした。

保険でできる入れ歯を作るのはかなり難しいとのことでしたが、ドイツで開発されたコーヌスクローネという方法で、治療が出来ます。と患者さまにお伝えいたしました。

全ての歯を支えとしたコーヌスクローネというドイツで開発された方法は、少数の歯に負担がかけるのではなく、全体で支えるため、1本1本の歯の負担を分散させる事が出来ます。

ドイツ式入れ歯は頑丈であり、グラつくこともなくドッシリと安定感があることも特徴の一つです。

また、大きな床をつける事が出来るのも取り外しができる入れ歯のメリットでもあります。

切除した骨の部分を守ってあげるように、大きな床をつけます。

顎の骨が薄くなると口元は凹んでしまい、左右差が出ますが、入れ歯によって膨らませる事で、左右差をなくす事ができます。

出来上がったコーヌスクローネがこちらです。

残っている歯の部分、前歯の6本に内冠を被せています。

ブリッジが入っていた部分は、神経のない弱い歯だったため、将来失っても問題がないように、最初から床をつけました。

骨が薄い部分をしっかりと床で覆うことで、お顔の膨らみが出るように工夫させていただきました。



こちらは、実際に患者さまのお口の中にコーヌスクローネをセットさせていただいた写真です。




口元は、目立った凹みもなく、左右対称になりました。

装着から1日が経ち様子を見させていただいたところ、発音に関しては問題ありませんが、まだ奥歯で噛む事に慣れていないので練習をしていきたいとおっしゃっておりました。

顎骨骨髄炎で片側だけ大きく骨を失ってしまい、困っていらっしゃる方がいらっしゃると思います。

私も『入れ歯』と検索をたくさんして、ドイツ式の入れ歯というのがあることを知りました。今回、無事に治療を終える事が出来てよかったです。

また、翌日メールにて

 

ゆりこ先生へ

長い間お世話になり本当にありがとうございました。

初めてメールでご相談させていただいた日から優しく寄り添っていただいて今日の完成まで安心して過ごすことができました。

昨日、着ける時大丈夫かとちょっとドキドキしておりましたが、ほとんど違和感がなくびっくりしました。

もちろん多少の違和感はありますが、それは予想していたよりもずっとずっと少ないものでした。

やはり右側は歯がないので慣れるまでは時間が掛かると思いますが、無理せずゆっくり使っていこうと思います。

歯の状態など何かありましたらご連絡させていただきたいと思っておりますので今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

と、ご連絡をいただきました。


顎骨骨髄炎は、軽度ですとインプラントによる治療も可能ですし、保険治療が適応される場合もあります。

しかし、血流が悪いと、インプラントの予後にも大きく関わります。

入れ歯による治療は、外科的な処置がない事、また取り外しができる事で、床により内側から頬を膨らますことも出来ます。

今回の患者さまの症例により、同じように困っていらっしゃる方の治療方法の選択肢の一つになれば幸いです。

今回の治療方法、コーヌスクローネ義歯について詳しくはこちらのページをご覧ください。

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筆者プロフィール

稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子
稲葉歯科医院 院長
稲葉由里子
所属・資格
  • 医療法人社団秀峰会 理事長
  • IPSG包括歯科医療研究会 総務理事
  • Weber dental labor 代表
  • EPA ヨーロッパ補綴歯科学会 会員
  • ISOI国際インプラント学会 会員
  • 日本顎咬合学会 認定医
  • IPSG包括歯科医療研究会、テレスコープ義歯を含む全コース修了
患者さまへのメッセージ

入れ歯専門、女性歯科医師として沢山の方々の入れ歯治療に携わってまいりました。
これまでの経験を生かして、患者さまからいただいたご質問やお悩みにブログを通してお伝えしていきたいと思います。

口元は、人格やパーソナリティーまで変えてしまうほど大切な要素です。
笑顔は、あなただけではなく周りの方も幸せにする大きな力があります。

お一人で悩まず、まずはご提案をさせていただくことができればと思います。

さまざまなご質問にもお答えしておりますので、どうぞ遠慮なくご連絡いただきたいと思います。

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稲葉 由里子 先生

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当院では、ドイツで開発されたテレスコープ義歯を専門としており、若い方を中心に幅広く治療をさせていただいております。
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