入れ歯をするために、健康な歯を削る必要性について
入れ歯をご検討されていらっしゃるご相談の中に、できる限り歯を削りたくないと言う声をお聞きします。
「歯を削らずに、入れ歯を入れたい」
それは、当然のお気持ちです。
例えば、片側の奥歯だけ失ってしまったなど、失ってしまった本数が少ない場合には、すべての歯を削ってテレスコープ義歯にするよりは、インプラントをおすすめしております。
しかし、沢山の歯をすでに失ってしまった場合には、全体で入れ歯を支えることで将来、歯を失う事を防ぐこともできます。
歯を削らずに入れ歯を入れると、上の写真のように失ってしまった歯の両脇に、クラスプという金具をかけます。
このようなクラスプ義歯は、歯を杭抜きのように横に揺らしてしまう作用があり、数年もすると歯がグラグラと動き出し、クラスプをかけた歯を失ってしまうのです。
入れ歯が動けば、クラスプも動き、クラスプをかけた歯も動いてしまうという構造です。
最近では、クラスプの金具がみえない、ノンクラスプタイプの入れ歯が流行っています。
金具がみえず、ご自身の歯を削る必要がないため、良いように感じますが、構造はクラスプ義歯とほとんど変わりません。
失ってしまった歯の隣に、シリコンのバネをかけます。
最初は快適に感じるかもしれませんが、クラスプ義歯と同じ構造なため、次第にバネがかかっている歯が動き出し数年後には歯を失ってしまうでしょう。
当院では、仮歯として一時的に使っていただくことはありますが、長期の使用はおすすめしていません。
なぜなら、ノンクラスプタイプのシリコン義歯の長期症例はほとんど見かけないからです。
それでは、できるだけご自身の歯を失わずに長く使う事ができる入れ歯とはどのようなものでしょうか。
当院では、ドイツで開発されたテレスコープ義歯をおすすめしております。
こちらの患者さまは、左側の臼歯と右側の臼歯を2本失い、右奥の親知らずが残っている状態でした。
残っている前歯を利用し使う事に抵抗がありましたが、残っている前歯に大きな虫歯があり、少ない本数の歯に負担をかけるより、全体の歯を利用して入れ歯を支える方法をおすすめさせていただきました。
この方法は、ドイツで開発された、コーヌスクローネという入れ歯で、当院顧問であり元チュービンゲン大学客員教授であった、稲葉繁先生が直接ドイツで学んできた技術です。
コーヌスクローネ義歯とは>>>
全ての歯を利用して、入れ歯を支えるため、1本にかかる負担が分散されます。
また、クラスプ義歯が杭抜きのような動きをするのに対し、コーヌスクローネは、歯の軸方向に力がかかるようになっているため、歯をできる限り揺らす事なく入れ歯を支えることができます。
コーヌスクローネは、大変精密な技工作業により製作され、被せている歯と入れ歯がピッタリとくっつきます。
金具も見えず、美しい入れ歯コーヌスクローネは、万が一歯を失ってしまったとしても修理をしながら長く使っていただくことができます。
稲葉繁先生のコーヌスクローネには、30年以上経過症例もたくさんあり、メンテナンスに通っていただいている患者さまとは、大きな信頼関係が築かれています。
健康な歯を削ることには、抵抗があるかもしれません。
しかし、沢山の歯を失ってしまった場合には、全体で入れ歯を支えることで将来、歯を失う事を防ぐこともできます。
今回、入れ歯を作ってくれたのは、Weber dental labor の小泉さん。
稲葉繁先生がいつも入れ歯を作る技工士の指導をしておりますので、私達歯科医師も安心して患者さまに専念することができます。
インプラントが良いか、入れ歯が良いか、あなたに合った治療方法をお伝えしたいと思いますので、もしよろしければご相談いただければと思います。
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