コーヌスクローネという入れ歯について
65歳の母の入れ歯の件で質問です。保険の入れ歯に馴染めないまま5年が過ぎ、今回コーヌスクローネという入れ歯を検討しています。
下の歯のブリッジは放ったままの状態、上の総入れ歯は外出時のみ付けるという生活でした。痛みや話しにくさ、噛みにくさがあるようです。今回入れ歯に精通した歯医者さんを探し、相談してみたところ、下の歯は6本残すことができ、コーヌスクローネの入れ歯の選択もあると言われました。
1)コーヌスクローネの入れ歯が、保険の入れ歯に比べて装着感の良い物か。どの点で違いがあるのか。(保険の歯で馴染めない人でも、コーヌスクローネの入れ歯なら使える人が多いのか)
2)長期間使える物なのか、保険の入れ歯と比べてどうか。
3)現在の歯医者さんは、もしお金をかけるとしても、上の総入れ歯は保険で作り、下は、利用できる歯を利用してコーヌスクローネで作るのはどうか?と言われています。両者にかける値段が随分違いますが、大丈夫でしょうか。
Aまず、コーヌスクローネという入れ歯を聞きなれない方がほとんどだと思いますのでどのような入れ歯かお伝えしたいと思います。
コーヌスクローネはドイツで開発された入れ歯です。テレスコープ義歯という入れ歯のひとつで、130年以上もの歴史があります。
コーヌスとは円錐形の意味で、歯に直接接着させる内冠と入れ歯の本体、外冠により構成されています。(二重に被せる方法)
内冠は円錐形で角度は6度(コーヌス角)、維持力は内冠、外冠のくさび力によります。
同じ形の紙コップを重ねると、ぴったりくっついて離れなくなる現象をイメージして頂けるとわかりやすいかもしれません。装着の最後で内冠と外冠がすっとはまると、はずれなくなります。この角度は歯の状態により調整することができます。
はずし方は入れ歯に指がかかるくぼみを作っておいて、それを持ち上げるとはずれます。
基本的にコーヌスクローネは神経のある歯に適応されます。というのは入れ歯の取り外しのときに神経のない弱い歯だと、土台ごと抜けてしまう危険性があるからです。
また、歯の残っている場所によっては禁忌症もあるので、しっかりとした診査、診断、治療計画が大切です。
それでは質問にひとつずつお答えします。
1)コーヌスクローネの入れ歯が、保険の入れ歯に比べて装着感の良い物か。どの点で違いがあるのか。
(保険の歯で馴染めない人でも、コーヌスクローネの入れ歯なら使える人が多いのか)
保険の入れ歯との装着感は全く違います。通常6本の歯が残っていると、日本の保険で作られる入れ歯はクラスプという金属のバネをつかったものです。 クラスプが揺れると同時に入れ歯が動き、支えている歯も揺すってしまいます。
入れ歯が口の中で動くと気になり、違和感があります。
それに比べて、コーヌスクローネは歯をしっかりと固定することができ、口の中で入れ歯が動くことがありません。そのため、保険の入れ歯に馴染めない方でも取り外しができるブリッジのような感覚で使っていただいております。
2)長期間使える物なのか、保険の入れ歯と比べてどうか。
保険の入れ歯は金属のバネ、クラスプをかけている歯が抜けてしまうとすべて作り直しが必要です。保険の入れ歯は、合わなかったり壊れたりすると何度も作り直しをしますが、このドイツ式入れ歯は修理ができるため、メンテナンスをしながら長期間使っていただくことができます。
3)現在の歯医者さんは、もしお金をかけるとしても、上の総入れ歯は保険で作り、下は、利用できる歯を利用してコーヌスクローネで作るのはどうか?と言われています。両者にかける値段が随分違いますが、大丈夫でしょうか。
せっかく下の歯をしっかり治すのであれば、上の歯もそれに見合ったものをおすすめしたいと思います。上下の歯は対になっています。
下の歯がいくら丈夫でしっかりしていても、上の入れ歯が落ちてくるようなものなら食事もできないし、しゃべることもできません。
また、保険の入れ歯と自費の入れ歯は、製作方法、材質も全く違います。保険診療は、製作する歯科技工士が患者さまと対面することはありません。従って、流れ作業となり、結果患者さまが求める入れ歯とは違うものになる事が多くあります。自費診療の入れ歯は、歯科技工士が立会いのもと、患者さまに一番合った入れ歯を作る事ができます。
何よりも、患者さまのために歯科医師、歯科技工士がこれまで培って来た知識や技術をすべて発揮し製作します。
保険の入れ歯の人工の歯は、とてもやわらかいプラスチックです。
上の入れ歯を保険、下の入れ歯をコーヌスクローネとなると、別々の技工所で製作するため、完成して合わせるのが非常に難しくなります。
コーヌスクローネに合った総入れ歯を同じ材質で、咬合器(かみ合わせの器械)を使用して作る事で、口全体の健康を取り戻す事ができます。
コーヌスクローネについてより深く知りたい方はこちらのページをご覧ください。
コーヌスクローネについて、動画でもお話させていただいておりますので、よろしければご参考になさってください。
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